公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで大手ビール会社4社を強制調査
アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールの4社の都内の本社などに強制調査。4社は数年前からこの出荷価格を調整するカルテルを結んでいた疑い。対象は、ビールなどを卸売業者向けに出荷する際の価格。
独禁法の不当な取引制限とは、本来は競争し合うはずの複数の事業者が、互いに話し合って競争をやめたり弱めたりする行為を指す、独占禁止法上の概念です。一般に「カルテル」や「談合」と呼ばれるものがこれにあたります。独占禁止法第2条6項で定義され、第3条で禁止されています。
成立の要件
条文を分かりやすく言い換えると、次の3点がそろった場合です。
複数の事業者が共同して行うこと:事業者同士の「合意」が必要です。契約書のような明確なものでなくても、お互いの意思が通じ合っていると認められれば足りるとされています(暗黙の了解でも該当しうるという考え方です)。
お互いの事業活動を縛る内容であること:価格を決める・維持する・引き上げる、生産量や販売量を制限する、取引相手や地域を分け合う、などが典型です。
一定の取引分野の競争を実質的に制限すること:市場での競争が実際に損なわれていることが必要です。
主な種類
価格カルテル:価格や値上げ幅、値上げ時期などを事前にそろえる行為です。今回の疑いはこれにあたります。
数量カルテル:生産量や出荷量を調整する行為です。
市場分割・取引先の割り当て:地域や顧客を分け合う行為です。
入札談合:入札で誰が落札するかを事前に決める行為です。
単なる情報交換との違い
業界団体の会合などで話をすること自体が、直ちに違法になるわけではありません。ただ、将来の価格に関する情報を交換し、結果として足並みをそろえる合意があったと認められると、違反とされるおそれがあります。今回の報道で「値上げ幅の目標を定めていた」とされている点が重要視されているのは、この合意の有無が争点になるためです。
違反した場合の主な措置
排除措置命令:違反行為をやめるよう公取委が命じます。
課徴金納付命令:違反期間中の対象商品の売上に一定の率(製造業は原則10%)をかけて算出した金額を、国に納めさせます。算定の対象となる期間は最長10年とされています。
刑事罰:公取委が検察に刑事告発し、起訴されれば、個人には懲役や罰金、法人には罰金が科されます。刑事告発は、公取委が告発しなければ検察は起訴できない仕組みです。
リーニエンシー制度:違反を自主的に申告した事業者は、課徴金が減免される場合があります。
補足
今回の件が不当な取引制限にあたるかどうかは、今後の調査と手続きで判断されます。現時点では「疑いで調査が始まった」段階です。