報道機関がよく「強盗傷害」というが罪名をあげてニュースを伝えるが、刑法条文にその罪名が本当にあるのか。
強盗傷害罪という罪名は、刑法にありません。正式な罪名は強盗致傷罪で、刑法240条前段に規定されています。法定刑は、無期又は6年以上の拘禁刑です。2025年6月に懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されたため、以前の懲役から読み替えます。
「致傷」の意味
致傷とは、強盗や逮捕・監禁のような別の犯罪(基本となる犯罪)をした結果、人にけがをさせたことを表す言葉です。基本となる犯罪の結果としてけがが生じたときに使います。強盗傷害という言い方は、強盗に傷害罪が加わったような形になり、この罪名の作り方に合いません。
「致傷」を使う罪名
・強盗致傷罪(240条前段)
・逮捕・監禁致傷罪(221条)
・不同意性交等致傷罪(181条)
・保護責任者遺棄致傷罪(219条)
・特別公務員職権濫用等致傷罪(196条)
・過失運転致傷罪、危険運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法)
「致傷」を使わない罪名
・傷害罪(204条):けがをさせること自体を処罰する罪です。法定刑は15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
・暴行罪(208条):暴行をしたが、けがに至らなかった場合です。
・過失傷害罪(209条):過失で人にけがをさせた場合です。
・傷害致死罪(205条):傷害の結果、人が死亡した場合です。結果が死亡なので、致傷ではなく致死を使います。
・強盗致死罪(240条後段):強盗の結果、人が死亡した場合です。死刑又は無期拘禁刑です。
「現行の240条」
・現行の240条の見出しは「強盗致死傷」です。「強盗傷人」は旧来の学説・判例上の呼び名で、条文上の用語ではありません。
・強盗・強制性交等致死傷罪という名称は古いものです。2023年の改正により、現在は強盗・不同意性交等及び同致死(241条)に改められています。
罪名について
罪名は法定刑や裁判員裁判の対象かどうかに直結します。そのため、公の報道番組が刑法にない罪名を使ったのであれば、訂正されるべき誤りだと思います。