1. 専門の筆跡鑑定との違い
専門的知見を有する筆跡鑑定士は、字形の細部(起筆・終筆の形、はねやはらいの角度、文字の連結の仕方)、筆順、 筆圧の変化、運筆の速度やためらいの痕跡、生育・利き手・書字時の姿勢による癖など、非常に多くの要素を 総合的に検討して判断します。これらの多くは静止画像を機械的に処理するだけでは再現できません。
本ツールが扱っているのは、そのうちの一部(インク密度・線幅・傾き・空間的な配置・線の方向の傾向)に 限られた、いわば「粗い統計的な指紋」のようなものです。専門鑑定の代替にはなりません。
2. スコアに影響する要因
以下のような条件によって、実際の筆跡の同一性とは無関係にスコアが変動することがあります。
- スキャン・撮影の解像度、明るさ、傾き、影の入り方
- 筆記具の種類(ボールペン・万年筆・鉛筆など)や紙質の違い
- 試料と対照で書かれている文字・文章の内容や量が大きく異なる場合
- 片方の画像だけ罫線・印刷物・朱肉の印影などが写り込んでいる場合
- アップロード枚数が少ない(1〜2枚のみ)場合のサンプルの偏り
精度を上げるためには、できるだけ同じような条件(解像度・明るさ・向き)で撮影・スキャンした画像を、 各グループ複数枚(可能であれば3〜5枚)ずつ用意することをおすすめします。
3. スコアの目安と、それが意味しないこと
| 表示 | 意味すること |
|---|---|
| 高い一致傾向(目安80%以上) | 今回抽出した統計的特徴において、試料群と対照群が近い傾向にあった、ということのみを示します。 |
| 中程度の一致傾向(目安60〜79%) | 特徴の一部が近く、一部が異なる傾向にあったことを示します。判断材料としては不十分です。 |
| 一致傾向は低い(目安60%未満) | 抽出した特徴においては差が大きかったことを示しますが、条件(2.参照)の影響である可能性もあります。 |
いずれの場合も、「本人が書いた」「別人が書いた」という結論を単独で導くものではありません。
4. 推奨される利用範囲
利用に適した場面(参考情報としての利用)
- 社内での一次的なスクリーニング(明らかに傾向が異なるものを見つける、程度の用途)
- 専門家に鑑定を依頼する前の、目安づくり
利用に適さない場面
- 裁判・訴訟における証拠
- 契約・相続・遺言などをめぐる本人性の最終的な判断
- 警察・行政機関への正式な提出資料
これらの場面では、必ず専門的知見を有する筆跡鑑定士による鑑定を受けてください。