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危険運転傷害という罪名は存在しない。

「危険運転傷害」という罪名は、自動車運転死傷処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の第2条に規定された罪の呼び名として正しくありません。
正しい罪名は、人を負傷させた場合は「危険運転致傷」、死亡させた場合は「危険運転致死」で、まとめて「危険運転致死傷罪」と呼ばれます。

裁判所の判決でも「危険運転致傷」「危険運転致死」と記載されています。
条文は、危険な運転行為を列挙したうえで、それによって人を負傷させた者は15年以下、死亡させた者は1年以上20年以下の刑に処すると定めていますが、条文の文言に「危険運転致傷」「危険運転致死」という名称そのものは出てきませんが、法律の構造と判決の記載に基づくとそう呼ばれます。
刑の種類は、刑法改正により懲役から拘禁刑に変わっています。
なお、刑法204条の「傷害罪」は別の罪で、「危険運転傷害」は両者を混同した呼び方といえます。

この罪については、2026年6月25日に飲酒と高速度の類型へ数値基準を設ける改正法が成立し、同年7月21日に施行されました。高速度は、最高速度60キロ以下の道路で50キロ以上、60キロを超える道路で60キロ以上の超過が対象です。飲酒は、呼気1リットル中0.5ミリグラム以上が対象です。数値基準に満たなくても、正常な運転が困難な状態などと判断されれば、危険運転にあたる可能性があります。

裁判員裁判の対象かどうかは、裁判員法第2条1項で決まります。対象は、死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪の事件と、法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件です。危険運転致死罪は、実際に裁判員裁判で審理されていることが、判決や報道で確認できます。一方、危険運転致傷罪は、法定刑に死刑・無期刑がなく、被害者も死亡していないため、条文上は対象外と読めます。ただし、致傷罪が対象外と明記された資料までは確認できていません。また、対象事件でも、裁判員らに危害が加えられるおそれがある場合などは、裁判官のみの合議体で扱う決定がされることがあります。

報道については、裁判員裁判で審理される事件は、危険運転致死などの正しい罪名で報じるほうが適切だと考えられます。「危険運転傷害」のような存在しない罪名で書くと、罪の重さや、裁判員裁判の対象となる事件かどうかという点まで誤解を招くおそれがあるためです。これは法律上の義務ではなく、正確性の観点からの意見です。

掲載内容は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。